MUKU-DATA  蔵 L面 杉板 縦張り+押し縁  N様

  縦張り板:杉 赤 18x180x4000mm
  押縁  :杉 赤 18x45x4000mm
  塗装  :ノンロット クリア


蔵の事で相談を受ける事が時々ある。
蔵を新築から作らせていただいた経験はないが、年配の大工さんや左官屋さんで
蔵を作った経験のある職人さんからかろうじて話を聞いたことがある程度。
今は殆どなくなってしまったが
上棟後、無事に建て前が済んだ事とこれからの工事の安全を願い、
上棟を祝う酒席が設けられる事が多かった。
大工の棟梁は最上座、材木屋、左官屋がこれに続いた。
20代の頃、まだ材木の事も建築の事も分からぬまま上座付近に座らされ
酌をされるままに飲み続けて青二才がバツの悪い思いで
その場の居心地は決して良いものではなかった。
土蔵作りになると最上座は左官屋が座るんだという事を蔵を作った事のある
左官屋さんから聞いてへぇ~って思った。
そりゃそうだわな・・
この分厚い土で覆われた蔵って何度も塗り重ねら
トータルで何日、そこの現場に出入りする事になるんだろう・・・?

蔵の相談の多くは雨の浸入、
何度も壁の補修をするも壁のどこかから雨が滲みこんでくる。
そこの現場は結局4方を木下見で塞いだ。
今回もやはり雨と漆喰壁の剥離を防ぐ事が目的で
西面と遮る建物がない南面の雨で蔵の漆喰壁が痛んで雨の浸入があるので
西と南の2面L形に、木の下見板で囲う事になった。

傷んだ箇所の破風板や軒先水切りも交換、急遽、屋根瓦も葺き替えする事になって
仕事を進める上での順序が逆になってしまったが
傷んだ部分のタルキ、野地板、軒先ケラバ板など部分的補修も行い、
がっちりとした蔵の囲いをすることができた。

車で田舎道を走っていると、蔵はまだ良く目にする。
その殆どは何かしらの外壁部分の補修をおこなっていることが多い。
それぞれに創意工夫で補修されていることが見て取れる。
今回のL型の囲い方の方法はそれほどコストをかけずに堅牢に組み上がり
上手く行ったのではなかろうかと思っている。